歴史と世界

サイト集と日本と海外の国の比較や名古屋の情報

2025-01-01から1年間の記事一覧

現代資本主義の危機 と 転換点

はじめに 長期にわたる超低金利、そして実質マイナス金利――これは単なる景気対策の副作用ではありません。現代の資本主義がすでに構造的な限界に直面しているという、重大なサインです。 かつて銀行は経済の中心でした。人々から利息を付けて預金を集め、信…

グレート・ジャーニー0:ビッグバンから

はじめに 現代社会はかつてない速さで変化しています。技術革新とグローバル化が進む中で、私たちの暮らしや価値観は日々書き換えられています。しかしその進歩の影には、社会構造の揺らぎと新たな不安が潜んでいます。どこに立って生きるべきか、その足場さ…

グレート・ジャーニー:人の歴史

はじめに 人類の長い旅――それが「グレート・ジャーニー」です。ホモ・サピエンスがアフリカの地を出発し、やがて地球上のあらゆる地域へと広がっていった。その壮大な旅路を、ここで改めてたどってみたいと思います。 この旅は、単なる「移動」ではありませ…

火山信仰と縄文の祭祀文化

はじめに 縄文時代の日本列島は、現在よりもと活発な「火山列島」でした。富士山、浅間山、三瓶山、十和田火山などが活動し、地震や噴火は日常と地続きの出来事でした。火山は人々に恐怖を与える一方で、肥沃な大地、温泉、黒曜石といった恵みをもたらす存在…

言語の起源・発展と社会(下):デジタルの本質

情報を拡散する:言語の影響 今、私たちは「当たり前」を問い直す時代に生きています。インターネットにつながることが常態化し、世界中の情報が手に入るグローバル化した社会です。スマホひとつで本人確認から支払い、イベントへの入場、保険証の提示まで、…

言語の起源・発展と社会(中):文字の発明と文明

(中)はじめに (上)では言語が人の知能を高くしたことと、言語を構成している言葉の概念を考察し、言葉の発生と進化を見てきました。この章では、文字の発明の経緯とその社会的意義を考えようと思います。 私の想像を中心に話を進め、その検証の為もあり…

言語の起源・発展と社会(上):言語と知能

はじめに あなたは今、こうして文章を読んでいます。そして、言語で考えていると思います。聴覚に障害のない人なら、おそらく頭の中で言葉が音として響いていることでしょう。聾唖者の場合、その音は響かないかもしれませんが、それでも彼らもまた言語を用い…

民族主義 と 郷土愛・家族愛

はじめに スポーツの国際大会で、見知らぬ自国選手に声援を送り、勝利に涙する。あるいは、故郷の話題を聞いて胸が熱くなる。こうした感情の根底には、「家族愛」や「郷土愛」といった、人間に深く根ざした心理があります。これらの感情は、私たちを強く結び…

第2次世界大戦と「特権階級」

はじめに 一般論として、第二次世界大戦期の財閥、豪商、豪農といった富裕層や特権階級の死亡率(戦死率を含む)は、平均(一般国民や兵士)よりも低かったと考えられています。 このことに関する確実な統計データを見つけるのは困難ですが、当時の日本の社…

文明と交易

はじめに 人類の歴史を振り返ると、文明の発展は常に「交流」と「交易」によって支えられてきたことがわかります。どれほど独自性のある文化であっても、他の文化との接点を持たなければ、それはあくまで一地域に限定された「文化」に過ぎません。 「文明」…

文法と思考:言語を考える

はじめに 私たちは、毎日何気なく言葉を使ってコミュニケーションをとり、物事を考え、世界を理解しています。もし、その言葉の構造自体が、私たちの思考や世界の見方を、意識されないレベルで密かに規定しているとしたらどうでしょうか? 「橋」や「太陽」…

世界史と日本史

はじめに 私たちが「歴史」として学んでいるものは、当時の施政者や権力者の視点に大きく依存しています。残された文献の多くも、ほとんどが権力者の手によって編まれたものです。 一方で、庶民の生活や声は歴史の主流にはほとんど記録されませんでした。圧…

ナショナリズムとグローバリズム

はじめに 近代から現代に至るまで、世界を大きく揺り動かしてきた二つの潮流があります。それが ナショナリズム と グローバリズム です。両者は、ときに手を取り合い、ときに鋭く対立しながら、社会や国際秩序の姿を形作ってきました。 とりわけインターネ…

アメリカの「信仰の自由」

はじめに カーク氏の暗殺は、アメリカ社会の分断を決定的なものとしました。さらに、近年の関税政策は同盟国にも負担を強いる形となり、冷戦時代には考えられなかった状況が生まれています。従来の資本主義は「反ソビエト共産主義」という枠組みの中で機能し…

進歩は人類を幸福にした?:「サピエンス全史」

はじめに ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』は、私たちの歴史観を根本から揺さぶる一冊です。彼は、人類が「進歩」と信じてきた出来事の多くが、必ずしも幸福をもたらしたわけではなく、むしろ新たな不幸や格差の始まりでもあったと指摘します。…

階層社会と自然破壊の記憶:農耕社会

はじめに もし人類が今も狩猟採集生活を続けていたら、私たちの社会は一体どうなっていたでしょうか? 今、私たちが当たり前だと思っている「家」「所有」「国」といった概念は、存在しなかったかもしれません。これらの概念はすべて、人類が農耕を始めたこ…

船と輸送の歴史 ― 川と海が結んだ古代の道

はじめに 人類の歴史は「移動」と「交易」の歴史でもあります。道が整備されるよりも前から、川や海は自然の「道」として人々を運び、物や文化を結びつけてきました。私たち現代人が、見落としやすいところですが、船の発達は単なる輸送手段にとどまらず、文…

穀物経済から貨幣経済へ:日本と世界の経済史

はじめに 現代を生きる私たちは、貨幣経済社会の中で、お金なしには生活できません。しかし、今では当然のように使っている貨幣も、長い歴史を経て定着してきたものです。 およそ5000年前に貨幣の原型が生まれたと考えられていますが、2000年前でも貨幣が通…

宗教とは何か その功罪

はじめに 宗教とは、人間が生み出した「物語=フィクション」でありながら、これほど多くの人々が長い歴史の中で共有してきました。そこには、宗教が人間にとって根源的な意味を持ち続けてきたこと、そしてホモ・サピエンスが地球上で最大の集団を形成し得た…

経済システム概観:安倍政権への道

はじめに 日本経済は長年にわたり「ゼロ金利」という異常な環境に置かれてきました。近年こそ名目金利はわずかに上昇しましたが、物価上昇率を差し引いた実質金利はむしろマイナス幅を拡大させています。つまり、銀行にお金を預けてもその価値は減り続けるの…

明治維新とは?―理想と現実

はじめに 「維新」という言葉は、今なお私たちの暮らしの中に深く息づいています。政党の名前に用いられたり、大河ドラマの題材になったりと、明治維新は多くの日本人にとって「希望に満ちた新時代の幕開け」というイメージで語られがちです。 しかしその一…

反知性主義:常識を打ち破るポピュリズム

はじめに 最近の世界政治を眺めると、「常識を打ち破る」として支持を集める動きが目立ちます。アメリカにおけるトランプ氏の再登場、日本における参議院選挙での参政党の躍進は、その象徴的な事例といえるでしょう。その背景には、現代社会に深く根を下ろす…

日本の「伝統」とは何か

はじめに 私たちは古い習わしや行事に触れると、つい「これは日本の伝統だ」と言いたくなります。しかし、「伝統」という言葉をよく考えてみると、その実体はとても曖昧です。 私たちが「伝統」と呼んでいるものの多くは、古文書や記録を通じて伝えられてき…

「◯◯ファースト」の風潮 〜誰のため〜

はじめに 最近、政治や地域振興の場で「◯◯ファースト」とよく聞きます。「都民ファースト」「アメリカファースト」「日本ファースト」など、◯◯に入る言葉を変えることで、あたかも特定の人々を最優先するような響きを持たせています。 この表現は一見わかり…

先コロンブス期の南北アメリカ

はじめに コロンブス以前、つまり先コロンブス期(Pre-Columbian Era)の南北アメリカには、私たちが「文明」という言葉で想像する枠組みを超えた、多様で深い精神文化と世界観が広がっていました。以下では、文化・文明の特徴、物の見方(世界観)、精神性…

ヨーロッパとアメリカのキリスト教

はじめに 「キリスト教」と聞くと、多くの人は一つの大きな宗教を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、その姿は時代や地域によって大きく変化してきました。もともとは古代ローマ帝国によって禁止されたユダヤ教の一派として始まったキリスト教が、…

南アメリカの食材たち :旧大陸への広がり

はじめに ジャガイモ、トマト、トウモロコシは、私たちの食卓に日常的に並びますが、これらはすべて、南アメリカ大陸が原産です。今ではヨーロッパ、アジアなどユーラシア大陸全域で「地元の食材」として根付いています。タピオカの原料となるキャサバもブラ…

見える世界と見えない世界:システムを考える

はじめに 私たちの身のまわりにある空気や水、そして私たち自身の体を形づくる細胞――それらすべては「原子」という極小の単位から成り立っています。つまり、私たちが想像できる温度の世界では、電子が陽子のまわりを回り、原子を形づくっています。 温度 - …

デジタルとアナログ:その意味と歴史

はじめに 私たちは日常の中で、「これはデジタルだから新しい」「あれはアナログだから古い」とつい言ってしまいます。しかし、本来デジタルとアナログは新旧を表す言葉ではありません。むしろそうした誤解が、技術や文化への理解を曇らせ、新たな誤解を生む…

情報伝達の歴史:グローバル化社会への道

はじめに 私たちは日々、スマートフォンで話し、調べ、メッセージを送り合いながら、当たり前のように情報をやり取りしています。しかし、この便利さは一朝一夕に得られたものではなく、叫びから始まり、言葉へ、文字へ、電気信号や無線、さらにはデジタル化…