短歌集 「KI-O-KU」

短歌集 「KI-O-KU」


風が吹き 寒くなった 今日は 雨も降った 10月9日

ここらにも 汽笛の音が 聞こえてきた そんなころのメモリー あるいは---

In the air, a whistle's call,
Memories of a time, now small,
Echoes of a distant train,
Whispering of journeys, once again.

吹く風で 朝寒かった 赤色の トンボの名前と 曼珠沙華

陽だまりを 探したあの日 クーラーの スイッチを入れて 思い出した

思い出す 昔の恋の 物語 終活として 心に沈める

Recalling old love's tale,
A story of yesteryears,
In my heart, it shall prevail,
As I embrace life's final cheers.

死ぬときは 別れの時と 怯えている 私は72歳 ああーーーーー

夜中には うるさく響く 虫の声 これが風情? 秋だもの

風が吹き 雨がふりだした ドーンと 稲妻の地響き 恐怖につつまれた

Wind howls, rain starts to pour,
Thunder roars, lightning's lore,
Earth trembles with fear's embrace,
In nature's wrath, we find our place.

リハビリで 吹き出た汗の その上を 外からの風が 流れていった

Sweat from rehab beads on my skin,
A breeze from outside starts to spin,
Over the sweat, the wind takes flight,
Carrying burdens, lifting plight.

友が去る 祭りの後の さびしさに 私は部屋の中で 立ちすくんでいた

Friends depart, festival's end,
Loneliness upon me descends,
I stand frozen in my room,
Memories of laughter, now in gloom.

変わらない 電話の声と その中に 私はだんだん 溶けていった

Unchanging voice through the phone,
Within its echo, I slowly drown,
Gradually, I fade away,
Lost within its endless sway.

旧友と 昔の僕が 青春に 花を咲かせた 鏡に映った顔

目覚める セミの鳴き声 カーテンから 光が漏れてきて クーラーからの風

背中に 雨を感じる にわか雨 くるまに乗り込んで 少し拭った

雨の音が 激しくなり 急に止んだ 陽が照りだした 梅雨は終わりかな

色々と プラトニックに 恋をする 思うだけは 自由だから

虫の音に 被さってくる クーラーの音 鳥は鳴かない まだ梅雨だから

新緑とも いえない緑が 目に入った 晴れている今日 梅雨の一日 空には雲が出て

Not verdant new, nor old in green,
My eyes perceive a subtle sheen,
On this clear day, the rain's respite,
Clouds blanket the sky, a seasonal rite.

7月2日 時計の針は 冷たく回り 陽があたっていた クーラーを点けた

もう半年 6月の最後は にわか雨 窓に水滴 梅雨の廊下

雷鳴り 雨が降ったり 止んだり 梅雨の終わり そんな気がして

玄関の 脇に咲いている 紫陽花は 通る人に 笑顔をみせた

By the doorstep, hydrangeas bloom,
Smiling at passersby, in full costume,
Their vibrant hues, a cheerful sight,
Bringing smiles in the day's light.

カーテンを 空ければ朝は 足元に風 予報は晴れ 梅雨の1日

野分が 季語で無くなった 6月に 風が吹きあれ 木々は泣いた

3年の 永い眠りから 醒めた僕は 変化の多さに とまどった

変ったこと 変らない事 それらが 僕を戸惑わせ 夢の世界となる

死んだ奴 生きている奴 その上の 時計の音が 聞こえてこない

The dead, the living, coexist,
Above them, the clock's beat dismissed,
Its ticking silenced, unheard by all,
In the realm where shadows fall.

雨降りで まとわりついた 額の汗を 窓からの風が 少しふきとった

リハビリに 向かう背中に 置いた手の その温もりの いつもありがとう

Upon the back heading to rehab's call,
The warmth of your hand, I recall,
Thank you always, for that touch so kind,
In its comfort, solace I find.


夜は 突然やってきて 闇に包む 不安になった僕は そこに倒れた

Night falls suddenly, enveloping all,
Anxiety grips, I stumble, I fall,
In the darkness, overwhelmed with fear,
I collapse, with no one near.

今はただ  記憶の中に 僕はいる 知っている僕は 昨日の僕だ 

君を透して 見ている僕は 歪んでいるのを インターネットで 確かめた

「こっちこっち」と 君は手招き するけれど ぼくは歩行器 早くは歩けない

障害者となり いつも車の わたしには 見えないものが たくさん出来た

サクラサク」あれからどのくらい たったのか 今年の花は まだ蕾です

「KI-O-KにU」には 不思議がいっぱい 詰まっていて 記憶に遊ぶ 一人の遊び

春の朝の 鳥の鳴き声 配達の バイクの音に 切り裂かれた

Moniterの Google map で 思い出す 志摩の海で 出会った少女